日本保守党の百田尚樹による女性蔑視発言や、吉本の松本人志の組織的な性的加害行為の問題、そして残念ながら私が推している国民民主党玉木党首の不倫問題発覚など、ここのところ女性の人権について深く考えさせられる出来事が続けて起きました。
改めて女性の人権について少子化問題も含めて書き記しておこうと思います。
百田尚樹氏の発言における問題点
百田尚樹「"子宮摘出"発言」どれほどヤバすぎたか 「フィクション」で許されるラインとの境界線は? | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン
まあこんなの改めて事細かに説明しなければならないようなものではないはずだと思うんですが、言葉のあやだとか、フィクションだとか、切り取りだとか、そういう見苦しい言い逃れが横行しているのが残念ながら日本の現実でもあるんですよね。
要約すると、日本の少子化対策をどうするのか?という質問に対して、70近いお爺さんが「SFの話」として打ち出したのが
・18歳以上の女性を大学進学させない
・女性は25過ぎたら結婚できないようにする
・30超えたら子宮を摘出する
などの、女性の人権を著しく傷つけ、女性を人間以下の家畜扱いする、まるでネットに転がっている胸糞悪いエロ漫画みたいなグロテスクな内容だったと。
で、驚くのが日本保守党の有本香さんがそれを止めることもしないどころか、のちにはXで「百田の口を塞いでも日本の少子化は加速するだけだ」などという論点ずらしにより、百田の胸糞エロ漫画案が恰も日本の少子化対策に貢献しているかのようなたわごとを重ねていっているんですよね。
この有本香という人がどういう人なのか知りませんが、ちょっと調べてみると60代前半という年齢では珍しくご本人は大学に進学し、結婚はしておらず、パートナーとパートナーの連れ子がいるようですが、本人はどうやら出産も子育ても未経験なのでは?という感じ。
以前に東京都知事選において石丸氏が少子化対策で「仮定」として一夫多妻制や試験管ベビー?などを持ち出したのも記憶に新しいですが、少子化というものに対して、育児に殆ど関わったことがない高齢男性や、結婚すらしていない男性、大多数の女性とは違う生き方をしてきて出産も育児も未経験のいわゆる「名誉男性」などに、実際に出産や育児を担わざるを得ない女性たちの気持ちや人生なんて分かるわけがないんですよね。
出産育児のリアルを経験したことが無い人間に少子化対策なんて聞いたところで、連中が想起するのはいつも見てるエロ漫画やAVの情報くらいなんだなとしか言いようがない。
思いつかないくせに素直に「浅学のため自分には分かりません。女性の意見を聞きたい」と謙虚になれない愚か者だから、絵空事の馬鹿丸出しの意見をどや顔でのたまって大顰蹙を買うことになる。
女性の人権についての動きが大きくなってきたのは本当にここ10年とか15年とかそれくらいの感じで、それまでの日本は「クレヨンしんちゃん」のような、大黒柱の夫と専業主婦の妻と子供が二人くらいというような核家族が当たり前で、社会全体で「高学歴やキャリアのある女性は結婚できない」「25過ぎたら行き遅れ」女性の就職は企業の男性の嫁候補として集められ、結婚して寿退社→永久就職(専業主婦)が女性の幸せとされ、女性が家庭の中で、男性の身の回りの世話や、育児、自分の親だけでなく夫の両親の介護まで担い、地域の組合やPTAなど様々な非経済活動を担わされて無償で働かされていた現実がありますよね。
経済も政治も男性中心で、たまに混ざる女性は女性というよりも名誉男性であり、また男性社会での売春婦のような存在でもある(枕営業やセクハラ要員など女性性を提供して経済的利益を得ようとしている人も少なからずいる)。
頭が良く自分の意見をズバズバいうような女性は「女の分際で生意気な」などと言われて、本当に女性の性的役割を担わされて生きている圧倒的大多数の一般的な女性の声が、社会でも政治でも全く届いていないんですよね。
しかし現役世代こそ男女比は少し男性が多いですが、女性は寿命が長い傾向があるので、社会全体で見ると男性95.8:女性100で、女性の方が多くなる。
選挙として考えても本来は女性の有権者の方が数が多いんですよね。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000528774.pdf
年代別投票率を見ると、若いほど男女の投票率は同等かもしくは女性の方が投票率が高い傾向にあるのだけれど、高齢者になると女性の投票率が大きく下がってくるのは年代的にやはり女性の学びが大きく制限されていた時代、政治や経済は難しくて分からないから、という時代背景があるのかなという気がします。
IQ分布図などを見ても、実は女性はIQの中央値が100なのに対して男性のIQの中央値は100を下回ることが明らかにされたり、女性ホルモンが脳の認知機能を高める働きを持っていることが科学的に明らかにされたり、高校や大学などの入試で実際には女性の方が得点が高いにも関わらず男女枠によって進学が阻まれてしまう不平等がまかり通っていた現実が明らかにされたり。
よく「男性は理論的、女性は感情的」と言う人がいますが、理論的思考ってIQで数値化されるので、科学的事実と反する完全なるレッテル貼りなんですよね。
少子化問題を解決するならば、性的に出産や乳幼児育児を主体的に担う女性の現場の声を反映させなければ不可能なんですよね。その為にも女性自身が、地に足ついた少子化対策を打ち出せるくらい学んだり、社会に進出したり、経済的構造を変えたり、政治に声を届けたりしなければならない。
妊娠も出産もしたことがないおっさんや名誉男性の考える「例えば」とか「SFやで」なんて戯言は現実には何の役にも立ちません。むかつくだけ。
百田尚樹らのような「女性の人権をはく奪する」という発想が如何に傲慢で愚の骨頂か。まあ普通言わなくても分かりそうなもんですが、事細かに言わなければ分からない人たちが、自分は頭がいいと誇大妄想抱えてどうしょうもないというのが社会が変わらない壁になっているんですよね。
ちなみにそういうのをダニングクルーガー効果といいますね。
不倫問題でなぜか少子化を持ち出して正当化しようとする人間がいるが…
以前に記事に書いたのですが、野生のライオンはプライドという群れを形成して一見一夫多妻制のような母系社会を作りますが、サファリパークのような飼育下に置かれると一夫一婦制に変わるんですね。
サファリパークの飼育員さんなんかはそれが何故か分からないと首をかしげるんですが、私はそれは種族維持本能による遺伝子の多様性を保つ為だと考えています。
2006年に次世代シークエンサが実用化されて古代の人骨などのゲノム解析が可能になったことで昨今人類学や歴史などが科学の手によって非常に大きく飛躍しているのですが、例えば我々ホモサピエンスの他にもネアンデルタール人だったり、また、DNA解析でその存在が明らかになったデニソワ人などがいて、それらの人類が交雑していて私たちホモサピエンスの隠れた祖先になっているということが明らかになっているんですね。
過去に世界各地で発掘された遺跡や古人骨のゲノム解析などで、これはどういう人類でDNAの割合はこうで、というようなことが詳細に分かってきているのですが、その中には近親交配を繰り返した上に断絶しているネアンデルタール人の集団の例なども取り上げられていて、逆に多くのホモサピエンスやネアンデルタール人の集団は、およそ200人~500人程度の狭い範囲内で交配しつつも(現代人は1000人規模の中で交配している)三親等以内の近親交配は避けるようなシステムが備わっていたことが分かっています。
歴史でも政治的思惑から近親婚を繰り返してきたことで有名なハプスブルク家は、遺伝性疾患により断絶しています。
スペイン・ハプスブルク家、断絶の原因は「近親婚」か 研究結果 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ハプスブルク家は遺伝性疾患を抱え乳児死亡率も明らかに高かったんですが、非常に多産でもありました。しかしいくら多産でも断絶してしまった。
逆にいうと近親婚を防ぐ本能的なシステムが働いた集団だけが生き延びられ、そうでない集団は絶滅していったのではないかと思います。
何故一夫多妻制や不倫が問題かというと、妊娠出産を担わない男性が歯止めなく精子をばらまくことで、遺伝子の多様性が著しく損なわれるリスクが高くなるからです。
多死多産の過酷な状況で生殖可能な年齢に達するまでに多くの子が死んでしまうというような状況であれば、生き延びる確率に合わせてとりあえず沢山産んでおけというのも分かりますが、世界規模で戦後三倍に人口が増加し、明らかにそれが原因で少産になっているのに、更に限られた男性が無責任に精子をばらまくことは少子化においても種族においても何ら役に立たないどころか、逆に種族の寿命を縮めるリスクにしかならない。
原始人やライオンでさえも、近親交配を避けているわけで、逆にそれが出来なかった種は袋小路にハマり絶滅しているんです。
結婚における男女の経済や人生の不均衡が解消されれば
肉体労働なんかは(小柄な男性や逞しい女性などもいるので)個人差はあれど、全体的に男性の方が有利かなとか、女性は生理や妊娠出産など性的役割が現実的にある為に、やはり経済活動においてすべて男性のようにできるかというと難しいですが、女性も社会で活躍できるように、女性の性的な負担を加味した社会の構造を再構築していく必要性があると思います。
その為にも勉強が得意で頭のいい女性が進学して学び、経済界や政治の世界で活躍して、社会に声を発することができるようになった方が絶対にいいし、女性が名誉男性になるのではなく、女性としての人生を歩んだ上で経済でも自立可能な社会であるべきだと思うんですね。
結婚というものについても、どうしても男性は女性に母親の役割を求める傾向が強く、女性を生活インフラの手段と考える男性が少なくありません。
今子供をまさに産み育てている若い夫婦などは、子育てを本当に協力して行う姿が見られていて、私たちの時代とは大きく異なっていることも実感として感じていますし、進学や経済などでも若い女性がどんどん活躍していますから、これからどんどん変わっていくのだろうなというのは間違いないと思うのですが、やはりどうも50代60代という男性のいわゆる「有害な男らしさ」みたいなものが非常に目に付きますね。
不倫なんかも、子供が小さい時にそんな裏切りをされては女性側の心身の負担は著しいものがあるのは当たり前だし、また、50代60代という年齢での不倫で、育児や介護などの無償労働を担い経済的自立が叶わなかった女性が、夫に不倫されても経済的に依存している以上許さないという選択肢そのものが無いわけですよね。夫婦の経済力の勾配が明らかである以上、やはり女性側の不平等感や屈辱というのがどうしても存在する。
男女の恋愛では心変わりや別れもそれほど大きな問題ではないですが、育児や介護や経済的な依存というものがある結婚はそういう風にはいかないし、だからこそ法律によって弱者が保護されているわけで。
不倫なんかも、昔の男尊女卑世代と、子育てや介護のようなものも男女平等に責任を担うようになった世代とでは全く考え方が異なるだろうなと思います。家庭の中で子育てや介護などに負担を担うほど、不倫なんかされたらたまったもんじゃないという気持ちが芽生えると思うので。
少子化を不倫の正当化に用いる人間がいますが、まず殆どの場合不倫関係で子供を産むケースは少なく普通は避妊や中絶をしますし、不倫女性が妊娠しても男が中絶を迫り、暴行や殺人事件に発展した刑事事件など山のようにあります。また、不倫女性が妊娠して、既婚男性が離婚し不倫女性と結婚したとしても、離婚家庭の母子は放りっぱなしで子育ても女任せで、少子化に貢献したとかどの面下げてのたまうんだと。
愛し合う男女が結婚し、子供を産んで、協力して育てるという状況が少子化対策には最も有効であり、無責任な性欲や暴力や中絶や殺人などの反社会的な人間の子孫繁栄になど社会が優遇してやる価値など全く存在しません。
他人の不倫騒動の度に頑迷に少子化問題を持ち出して正当化しようとする人間はいったい何なんでしょうね。もうボケてるんですかね?伝わらないので相手にするのも嫌になりますが、声がでかいのでいちいち説明してやらないとそういうもんだと思う人間が出てきてしまうのでたちが悪いですね。